等比数列の和の公式の導出:S−rS で項が消える理由

数学2B数列公式の成立 更新
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等比数列の和の公式

初項 aa、公比 rr の等比数列の、初項から第 nn 項までの和 SnS_n は

Sn={a(1−rn)1−r=a(rn−1)r−1(r≠1)na(r=1) S_n= \begin{cases} \dfrac{a(1-r^n)}{1-r}=\dfrac{a(r^n-1)}{r-1} & (r\neq 1)\\[10pt] na & (r=1) \end{cases}

この記事の要点

  • 和 SS と、それを rr 倍した rSrS を1項ずらして並べると、途中の項がすべて消える
  • 引き算で (1−r)S=a−arn(1-r)S=a-ar^n となり、1−r1-r で割れば公式になる(r≠1r\neq 1 のとき)
  • r=1r=1 のときは 1−r=01-r=0 で割れないので、別に S=naS=na とする

等比数列の和の公式は、分数の形をしているうえに rnr^n と rn−1r^{n-1} のどちらが出てくるのか迷いやすい公式です。けれども導き方は「rr 倍して引く」の一つだけで、一度たどれば自分で作り直せます。

等比数列の和の公式は何を表すか

等比数列は、前の項に同じ数 rr を掛けてできる数列です。初項から第 nn 項までを並べると

a, ar, ar2, ⋯ , arn−1 a,\ ar,\ ar^2,\ \cdots,\ ar^{n-1}

となり、最後の第 nn 項は arn−1ar^{n-1} です(rr を掛けるのは n−1n-1 回)。公式は、この nn 個を全部足した値を、a, r, na,\ r,\ n だけで表したものです。

たとえば 1+2+4+8+161+2+4+8+16 は a=1, r=2, n=5a=1,\ r=2,\ n=5 なので、公式から 1⋅(25−1)2−1=31\dfrac{1\cdot(2^5-1)}{2-1}=31 となり、実際に足した値と一致します。

等比数列の和の公式の導出

r≠1r\neq 1 として、和を SS とおきます。

1. 和 SS を書き出す

S=a+ar+ar2+⋯+arn−1 S=a+ar+ar^2+\cdots+ar^{n-1}

2. 両辺を rr 倍する(各項がちょうど1つ先の項になる)

rS=ar+ar2+⋯+arn−1+arn rS=ar+ar^2+\cdots+ar^{n-1}+ar^n

3. 上の式から下の式を引く

1項ずらして並べると、途中の項は縦にそろって消える

SS の arar から arn−1ar^{n-1} までと、rSrS の arar から arn−1ar^{n-1} までは同じ項なので、引き算で途中の項がすべて消え、両端の2つだけが残ります 。

S−rS=a−arn S-rS=a-ar^n

4. 左辺を SS でくくる

(1−r)S=a(1−rn) (1-r)S=a(1-r^n)

5. 両辺を 1−r1-r で割る(r≠1r\neq 1 なので 1−r≠01-r\neq 0)

S=a(1−rn)1−r S=\frac{a(1-r^n)}{1-r}

分母と分子に −1-1 を掛ければ、a(rn−1)r−1\dfrac{a(r^n-1)}{r-1} の形にもなります。r>1r>1 のときはこちらを使うと、rn−1r^n-1 も r−1r-1 も正になって計算しやすくなります。

r=1r=1 のときは、手順5で 00 で割ることになるため、この導き方は使えません。このときはすべての項が aa なので、そのまま S=naS=na です。

別の見方:因数分解の公式として読む

a=1a=1 のとき、手順4の式は

1−rn=(1−r)(1+r+r2+⋯+rn−1) 1-r^n=(1-r)(1+r+r^2+\cdots+r^{n-1})

と書けます。これは因数分解の公式です。n=2, 3n=2,\ 3 なら

1−r2=(1−r)(1+r)1−r3=(1−r)(1+r+r2) \begin{aligned} 1-r^2&=(1-r)(1+r)\\[4pt] 1-r^3&=(1-r)(1+r+r^2) \end{aligned}

で、数学Iで習った形と一致します。等比数列の和の公式は、1−rn1-r^n の因数分解を nn 項に広げたもの とも言えます。

使い方の例題

例題

等比数列 2, −6, 18, ⋯2,\ -6,\ 18,\ \cdots の初項から第5項までの和を求めよ。

初項 a=2a=2、公比は r=−62=−3r=\dfrac{-6}{2}=-3 です。r≠1r\neq 1 なので公式が使えます。

S5=2{1−(−3)5}1−(−3)=2{1−(−243)}4=2×2444=122 \begin{aligned} S_5&=\frac{2\{1-(-3)^5\}}{1-(-3)}\\[4pt] &=\frac{2\{1-(-243)\}}{4}\\[4pt] &=\frac{2\times 244}{4}=122 \end{aligned}

2行目では (−3)5=−243(-3)^5=-243 を使いました。公比が負なので、rnr^n の符号に注意します。

検算として、5つの項を書き出して足すと 2−6+18−54+162=1222-6+18-54+162=122 となり、一致します。

注意

公式の中に出てくるのは rnr^n で、rn−1r^{n-1} ではありません。第 nn 項 arn−1ar^{n-1} と混ざりやすいので、迷ったら n=1n=1 を代入して S1=aS_1=a になるかを確かめましょう(a(1−r)1−r=a\dfrac{a(1-r)}{1-r}=a で正しい)。

この記事のまとめ

  • SS と rSrS を1項ずらして引くと、途中の項が消えて (1−r)S=a(1−rn)(1-r)S=a(1-r^n) になる。
  • r≠1r\neq 1 なら 1−r1-r で割って公式が得られる。r=1r=1 のときは S=naS=na。
  • 公式は 1−rn1-r^n の因数分解とも読める。使うときは rnr^n と n=1n=1 の検算を確認する。