等比数列の和の公式
初項 a、公比 r の等比数列の、初項から第 n 項までの和 Sn は
Sn=⎩⎨⎧1−ra(1−rn)=r−1a(rn−1)na(r=1)(r=1)この記事の要点
- 和 S と、それを r 倍した rS を1項ずらして並べると、途中の項がすべて消える
- 引き算で (1−r)S=a−arn となり、1−r で割れば公式になる(r=1 のとき)
- r=1 のときは 1−r=0 で割れないので、別に S=na とする
等比数列の和の公式は、分数の形をしているうえに rn と rn−1 のどちらが出てくるのか迷いやすい公式です。けれども導き方は「r 倍して引く」の一つだけで、一度たどれば自分で作り直せます。
等比数列の和の公式は何を表すか
等比数列は、前の項に同じ数 r を掛けてできる数列です。初項から第 n 項までを並べると
a, ar, ar2, ⋯, arn−1となり、最後の第 n 項は arn−1 です(r を掛けるのは n−1 回)。公式は、この n 個を全部足した値を、a, r, n だけで表したものです。
たとえば 1+2+4+8+16 は a=1, r=2, n=5 なので、公式から 2−11⋅(25−1)=31 となり、実際に足した値と一致します。
等比数列の和の公式の導出
r=1 として、和を S とおきます。
1. 和 S を書き出す
S=a+ar+ar2+⋯+arn−12. 両辺を r 倍する(各項がちょうど1つ先の項になる)
rS=ar+ar2+⋯+arn−1+arn3. 上の式から下の式を引く
1項ずらして並べると、途中の項は縦にそろって消えるS の ar から arn−1 までと、rS の ar から arn−1 までは同じ項なので、引き算で途中の項がすべて消え、両端の2つだけが残ります
。
S−rS=a−arn4. 左辺を S でくくる
(1−r)S=a(1−rn)5. 両辺を 1−r で割る(r=1 なので 1−r=0)
S=1−ra(1−rn)分母と分子に −1 を掛ければ、r−1a(rn−1) の形にもなります。r>1 のときはこちらを使うと、rn−1 も r−1 も正になって計算しやすくなります。
r=1 のときは、手順5で 0 で割ることになるため、この導き方は使えません。このときはすべての項が a なので、そのまま S=na です。
別の見方:因数分解の公式として読む
a=1 のとき、手順4の式は
1−rn=(1−r)(1+r+r2+⋯+rn−1)と書けます。これは因数分解の公式です。n=2, 3 なら
1−r21−r3=(1−r)(1+r)=(1−r)(1+r+r2)で、数学Iで習った形と一致します。等比数列の和の公式は、1−rn の因数分解を n 項に広げたもの
とも言えます。
使い方の例題
例題
等比数列 2, −6, 18, ⋯ の初項から第5項までの和を求めよ。
初項 a=2、公比は r=2−6=−3 です。r=1 なので公式が使えます。
S5=1−(−3)2{1−(−3)5}=42{1−(−243)}=42×244=1222行目では (−3)5=−243 を使いました。公比が負なので、rn の符号に注意します。
検算として、5つの項を書き出して足すと 2−6+18−54+162=122 となり、一致します。
注意
公式の中に出てくるのは rn で、rn−1 ではありません。第 n 項 arn−1 と混ざりやすいので、迷ったら n=1 を代入して S1=a になるかを確かめましょう(1−ra(1−r)=a で正しい)。
この記事のまとめ
- S と rS を1項ずらして引くと、途中の項が消えて (1−r)S=a(1−rn) になる。
- r=1 なら 1−r で割って公式が得られる。r=1 のときは S=na。
- 公式は 1−rn の因数分解とも読める。使うときは rn と n=1 の検算を確認する。