点と直線の距離の公式
点 P(x0, y0) と直線 ℓ: ax+by+c=0 の距離 d は
d=a2+b2∣ax0+by0+c∣この記事の要点
- 点 P が原点にくるように全体を平行移動すると、計算が「原点と直線の距離」に変わる
- 原点から直線に下ろした垂線の足の座標を求め、原点からの長さを計算すると公式になる
- 距離を文字の式で表せるので、「放物線上の点と直線の距離の最小値」のような問題にも使える
点と直線の距離の公式は、分子の絶対値と分母の a が特徴的で、形を覚えるだけになりがちな公式です。この記事では、平行移動して原点の問題にするという考え方で証明し、そのあと基本の例題と、少し発展的な使い方を紹介します。
点と直線の距離の公式は何を言っているか
点 P と直線 ℓ の距離とは、P から ℓ に下ろした垂線の長さ PH のことです(H は垂線の足)。
点と直線の距離は、垂線 PH の長さ公式は、垂線の足 H の座標を求めなくても、直線の式の左辺に点の座標を代入した値から距離が分かる、と言っています。
点と直線の距離の公式の証明
a, b のうち少なくとも一方は 0 でないとします(そうでないと直線になりません)。
1. P が原点にくるように平行移動する
x 方向に −x0、y 方向に −y0 だけ全体を平行移動します。平行移動しても距離は変わりません。P は原点 O に、直線 ℓ は x を x+x0、y を y+y0 に置きかえた
a(x+x0)+b(y+y0)+c=0に移ります。k=ax0+by0+c とおくと、これは
ax+by+k=0です。あとは、原点とこの直線の距離を求めればよくなりました。
2. 原点を通り、直線に垂直な直線を作る
直線 ax+by+k=0 に垂直で原点を通る直線は
bx−ay=0です。a, b がどちらも 0 でないときは、傾きが −ba と ab で、積が −1 になります。a=0 なら一方が横の直線・他方が縦の直線、b=0 なら一方が縦・他方が横になり、どの場合も垂直です。
3. 垂線の足 H の座標を求める
ax+by=−k と bx−ay=0 を連立します。2つ目から bx=ay なので、1つ目に a を掛けた式と2つ目に b を掛けた式を足すと
a2x+abyb2x−aby(a2+b2)x=−ak=0=−aka2+b2=0 なので x=−a2+b2ak。同じように y を求めると、H の座標は
H(−a2+b2ak, −a2+b2bk)です。
4. OH の長さを計算する
OH2=(a2+b2)2a2k2+b2k2=(a2+b2)2(a2+b2)k2=a2+b2k2OH>0 なので OH=a2+b2∣k∣ です。k=ax0+by0+c をもとに戻すと
d=a2+b2∣ax0+by0+c∣が得られます。手順2で垂直な直線を bx−ay=0 と書いたので、a=0 や b=0 でも場合分けがいりません
。
使い方の例題
例題
点 (2, 1) と直線 3x+4y−5=0 の距離を求めよ。
x0=2, y0=1, a=3, b=4, c=−5 を代入します。
d=32+42∣3⋅2+4⋅1−5∣=25∣5∣=55=1点と直線の距離の公式の発展的な使い方
公式を使うと、距離を文字を含む式で表せます。すると、距離の最小値を求める問題を、2次関数の最小値の問題に置きかえられます。
発展例題
放物線 y=x2 上の点 P と、直線 y=2x−3 の距離の最小値を求めよ。また、そのときの P の座標を求めよ。
1. P を文字で表す
P は放物線上の点なので、P(t, t2) とおけます(t は実数)。
2. 直線を ax+by+c=0 の形にする
y=2x−3 を移項して 2x−y−3=0 です。
3. 公式で距離を t の式にする
d=22+(−1)2∣2t−t2−3∣=5∣−(t2−2t+3)∣=5∣t2−2t+3∣4. 絶対値を外す
平方完成すると t2−2t+3=(t−1)2+2 で、これはつねに 2 以上の正の数です。したがって絶対値はそのまま外せて
d=5(t−1)2+25. 2次関数の最小値として求める
(t−1)2≧0 なので、d は t=1 のとき最小になり、最小値は
d=52=525そのときの P は (1, 1) です。
距離が最小になる点 P(1, 1) では、接線が直線 y = 2x − 3 と平行になるこの問題では、点と直線の距離の公式で距離を t の式にし、2次関数の最小値の問題に置きかえました
。
検算(別の方法):距離が最小になる点では、放物線の接線が直線と平行になるはずです(図)。y=x2 の接線の傾き 2x が直線の傾き 2 に等しくなるのは x=1 のときで、P(1, 1) と一致します。また、P から直線への垂線の足は (59, 53) で、2点の距離は (54)2+(52)2=52 となり、一致します。
注意
公式を使う前に、直線を必ず ax+by+c=0 の形にしましょう。y=2x−3 のまま a=2, b=1, c=−3 などと読み取ると、符号を間違えます。また、分子の絶対値を外すときは、中身の符号を確かめてから外します。
この記事のまとめ
- 点 P を原点に移すと、直線は ax+by+k=0(k=ax0+by0+c)になり、原点からの距離 a2+b2∣k∣ が公式になる。
- 垂直な直線を bx−ay=0 と書けば、a=0, b=0 でも場合分けがいらない。
- 距離を文字の式で表すと、最小値の問題を2次関数の問題に置きかえられる。