相加平均・相乗平均の不等式の証明と使いどころ

数学2B式と証明公式の成立 更新
目次

相加平均と相乗平均の大小関係

a>0, b>0a>0,\ b>0 のとき

a+b2≧ab \frac{a+b}{2}\ge\sqrt{ab}

等号が成り立つのは a=ba=b のときである。

この記事の要点

  • 左辺から右辺を引くと (a−b)22\dfrac{(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2}{2} になり、2乗なので 00 以上
  • 半円の図では、半径 a+b2\dfrac{a+b}{2} が、垂線の長さ ab\sqrt{ab} 以上であることとして見える
  • 和の最小値を求めるときに使う。積が一定になる組み合わせを選び、等号が成り立つかを必ず確認する

a+b2\dfrac{a+b}{2} を相加平均、ab\sqrt{ab} を相乗平均といいます。この2つの大小関係は、数学IIの「式と証明」で学び、最大・最小の問題で何度も使われます。この記事では、不等式の証明を2通りで確かめ、どんな問題で使えるかを紹介します。

不等式は何を言っているか

たとえば a=4, b=9a=4,\ b=9 なら、相加平均は 4+92=6.5\dfrac{4+9}{2}=6.5、相乗平均は 36=6\sqrt{36}=6 で、相加平均のほうが大きくなります。a=b=5a=b=5 なら、どちらも 55 で等しくなります。

不等式は、正の2数では、相加平均が相乗平均より小さくなることはない と言っています。

相加平均・相乗平均の不等式の証明

1. 左辺から右辺を引く

a>0, b>0a>0,\ b>0 なので、a=(a)2, b=(b)2, ab=aba=(\sqrt{a})^2,\ b=(\sqrt{b})^2,\ \sqrt{ab}=\sqrt{a}\sqrt{b} と書けます。

a+b2−ab=a+b−2ab2=(a)2−2ab+(b)22=(a−b)22 \begin{aligned} \frac{a+b}{2}-\sqrt{ab}&=\frac{a+b-2\sqrt{ab}}{2}\\[4pt] &=\frac{(\sqrt{a})^2-2\sqrt{a}\sqrt{b}+(\sqrt{b})^2}{2}\\[4pt] &=\frac{(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2}{2} \end{aligned}

1行目は通分、3行目は (x−y)2=x2−2xy+y2(x-y)^2=x^2-2xy+y^2 の形にまとめました。

2. 符号を調べる

(a−b)2≧0(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2\ge 0 なので、差は 00 以上です。したがって

a+b2≧ab \frac{a+b}{2}\ge\sqrt{ab}

3. 等号の条件

差が 00 になるのは a−b=0\sqrt{a}-\sqrt{b}=0、つまり a=ba=b のときだけです。

半円の図で見る

直径が a+ba+b の半円をかき、直径を長さ aa と bb に分ける点から垂線を立てます。

垂線の長さ √(ab) は、半径 (a+b)/2 をこえない

垂線と円の交点と、直径の両端を結ぶと、直径に対する円周角なので直角三角形ができます。直角三角形の相似から、垂線の長さを hh とすると h2=abh^2=ab、つまり h=abh=\sqrt{ab} です。

一方、半径は a+b2\dfrac{a+b}{2} で、半円の中で円周上の点から直径までの距離は半径以下です。よって ab≦a+b2\sqrt{ab}\le\dfrac{a+b}{2} で、等号は垂線が円の中心を通るとき、つまり a=ba=b のとき です。

使いどころ:和の最小値

不等式を a+b≧2aba+b\ge 2\sqrt{ab} の形にすると、積 abab が一定なら、和 a+ba+b の最小値が分かることになります。

例題

x>0x>0 のとき、x+4xx+\dfrac{4}{x} の最小値と、そのときの xx を求めよ。

x>0, 4x>0x>0,\ \dfrac{4}{x}>0 で、積 x⋅4x=4x\cdot\dfrac{4}{x}=4 は一定です。相加平均と相乗平均の大小関係より

x+4x≧2x⋅4x=24=4 \begin{aligned} x+\frac{4}{x}&\ge 2\sqrt{x\cdot\frac{4}{x}}\\[4pt] &=2\sqrt{4}=4 \end{aligned}

等号は x=4xx=\dfrac{4}{x} のとき、つまり x2=4x^2=4 で x>0x>0 より x=2x=2 のときに成り立ちます。x=2x=2 は条件 x>0x>0 を満たすので、**最小値は 44(x=2x=2 のとき)**です。

検算として x=1, 2, 3x=1,\ 2,\ 3 を代入すると、1+4=51+4=5、2+2=42+2=4、3+43=4.33⋯3+\dfrac{4}{3}=4.33\cdots で、x=2x=2 のときがいちばん小さくなっています。

注意

「≧4\ge 4」を示しただけでは、最小値が 44 だとは言えません。等号が成り立つ xx が実際に存在し、条件(この例では x>0x>0)を満たすことを確かめて、はじめて最小値になります。等号の確認を忘れるのは、よくある減点の原因です。

この記事のまとめ

  • a+b2−ab=(a−b)22≧0\dfrac{a+b}{2}-\sqrt{ab}=\dfrac{(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2}{2}\ge 0 で証明でき、等号は a=ba=b のとき。
  • 半円の図では、半径 a+b2\dfrac{a+b}{2} と垂線 ab\sqrt{ab} の比較になる。
  • 積が一定の2数の和の最小値に使える。等号が成り立つかを必ず確認する。