平方の和の公式
k=1∑nk2=12+22+32+⋯+n2=61n(n+1)(2n+1) この記事の要点
- 恒等式 (k+1)3−k3=3k2+3k+1 を、k=1 から n まで全部足す
- 左辺は隣どうしが打ち消し合い、(n+1)3−1 だけが残る
- 右辺に ∑k2 が出てくるので、それについて解けば公式になる
k=1∑nk=21n(n+1) は、和を逆順に並べて足す方法で導けました。ところが ∑k2 では、その方法がうまくいきません。そこで使うのが、3乗の差をとって打ち消し合わせるという方法です。この記事では、その流れを一行ずつたどります。
Σk² の公式は何を表すか
k=1∑nk2 は、1 から n までの平方数を全部足した値です。たとえば n=3 なら
12+22+32=1+4+9=14公式に n=3 を代入すると 61⋅3⋅4⋅7=14 で、一致します。公式は、項を1つずつ足さなくても、n を代入するだけで和が求まるようにしたものです。
Σk² の公式の導出
1. 恒等式を用意する
(k+1)3 を展開すると k3+3k2+3k+1 なので、
(k+1)3−k3=3k2+3k+1がすべての k で成り立ちます。左辺は「3乗の差」、右辺には目的の k2 が入っています。
2. k=1, 2, ⋯, n を代入して並べる
ある行の (k+1)³ と、次の行の k³ が打ち消し合う3. n 本の式を全部足す
左辺は、k=1 の行の 23 と k=2 の行の −23 のように、隣の行どうしで同じ数が打ち消し合い、最初の −13 と最後の (n+1)3 だけが残ります
。右辺は、k2 の項、k の項、定数の項ごとにまとめます。
(n+1)3−1=3k=1∑nk2+3k=1∑nk+n最後の n は、定数 1 を n 回足したものです。
4. ∑k2 について解く
S=k=1∑nk2 とおき、k=1∑nk=21n(n+1) を代入して 3S を残りの項で表します。
3S=(n+1)3−1−n−23n(n+1)−1−n=−(n+1) なので、右辺の3つの項はどれも (n+1) を因数にもちます。(n+1) でくくると
3S=(n+1){(n+1)2−1−23n}=(n+1)(n2+2n−23n)=(n+1)(n2+21n)=21n(n+1)(2n+1)2行目は (n+1)2−1=n2+2n、4行目は n2+21n=21n(2n+1) としました。両辺を 3 で割ると
S=61n(n+1)(2n+1)が得られます。
別の確かめ方:数学的帰納法
導いた公式が正しいことは、数学的帰納法でも確かめられます。Sn=61n(n+1)(2n+1) とおきます。
- n=1 のとき:S1=61⋅1⋅2⋅3=1=12 で成り立つ
- Sn+1−Sn が、増えた項 (n+1)2 に等しいことを示す
Sn+1−Sn=6n+1{(n+2)(2n+3)−n(2n+1)}=6n+1{(2n2+7n+6)−(2n2+n)}=6n+1⋅(6n+6)=(n+1)21行目は共通の 6n+1 を前に出しました。公式どうしの差が、ちょうど次の項 (n+1)2 になる
ので、すべての自然数 n で公式が成り立ちます。
使い方の例題
例題
k=1∑nk(k+1) を求めよ。
k(k+1)=k2+k と分けて、それぞれの公式を使います。
k=1∑nk(k+1)=k=1∑nk2+k=1∑nk=61n(n+1)(2n+1)+21n(n+1)=61n(n+1){(2n+1)+3}=61n(n+1)(2n+4)=31n(n+1)(n+2)3行目は共通の 61n(n+1) でくくりました(21=63)。
検算として n=3 を代入すると、公式は 31⋅3⋅4⋅5=20、実際に足すと 1⋅2+2⋅3+3⋅4=2+6+12=20 で一致します。
注意
∑k2 を (∑k)2 と取り違えるのはよくある間違いです。n=2 で比べると、12+22=5 に対して (1+2)2=9 で、別の値になります。
この記事のまとめ
- (k+1)3−k3=3k2+3k+1 を k=1 から n まで足すと、左辺は (n+1)3−1 だけが残る。
- ∑k の公式を代入し、(n+1) でくくって ∑k2 について解く。
- 公式は、n=1 の値と「差が次の項になること」で数学的帰納法でも確かめられる。