正弦定理の証明:外接円の直径を使って3通りに分けて導く

数学1A図形と計量(三角比)公式の成立 更新
目次

正弦定理

△ABC\triangle\mathrm{ABC} の外接円の半径を RR とすると、

asin⁡A=bsin⁡B=csin⁡C=2R \frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C}=2R

ただし a=BC, b=CA, c=ABa=\mathrm{BC},\ b=\mathrm{CA},\ c=\mathrm{AB} とする。

この記事の要点

  • 外接円に直径 BD を引くと、直角三角形 BCD ができ、a=2Rsin⁡Aa=2R\sin A が導ける
  • 角 A が鋭角・直角・鈍角で図の形が変わるので、3通りに分けて証明する
  • 正弦定理から「辺の比 = sin の比」や、面積の公式 S=abc4RS=\dfrac{abc}{4R} が得られる

正弦定理は「辺の長さ」と「向かい合う角の sin」を結びつける定理で、三角比の問題で何度も使います。証明は外接円の直径を1本引くだけですが、角の大きさによって図が変わるため、場合分けが必要になります。この記事では、なぜ3通りに分けるのかも含めて、一つずつ確かめます。

正弦定理は何を言っているか

正弦定理は、三角形のどの辺も、向かい合う角の sin で割ると同じ値 2R2R になることを言っています。言いかえると

a=2Rsin⁡A,b=2Rsin⁡B,c=2Rsin⁡C a=2R\sin A,\qquad b=2R\sin B,\qquad c=2R\sin C

です。3つの式は形が同じなので、a=2Rsin⁡Aa=2R\sin A を証明すれば、文字を入れかえて残りも成り立ちます。

正弦定理の証明:外接円の直径を引く

△ABC\triangle\mathrm{ABC} の外接円の中心を O とし、B を通る直径 BD を引きます(BD=2R\mathrm{BD}=2R)。

角 A の大きさによって、点 D の位置関係が変わる

使う性質は次の3つです。

  • 同じ弧に対する円周角は等しい(円周角の定理)
  • 直径に対する円周角は 90∘90^\circ
  • 円に内接する四角形の向かい合う角の和は 180∘180^\circ

(i) A が鋭角のとき

A と D は弦 BC に対して同じ側にあります。弧 BC に対する円周角なので

∠BDC=∠BAC=A \angle\mathrm{BDC}=\angle\mathrm{BAC}=A

また、BD は直径なので ∠BCD=90∘\angle\mathrm{BCD}=90^\circ。直角三角形 BCD で

a=BC=BDsin⁡∠BDC=2Rsin⁡A a=\mathrm{BC}=\mathrm{BD}\sin\angle\mathrm{BDC}=2R\sin A

(ii) A が直角のとき

直径に対する円周角が 90∘90^\circ なので、BC は直径です。したがって

a=2R=2Rsin⁡90∘=2Rsin⁡A a=2R=2R\sin 90^\circ=2R\sin A

(iii) A が鈍角のとき

A と D は弦 BC に対して反対側にあり、四角形 ABDC は円に内接します。向かい合う角の和が 180∘180^\circ なので

∠BDC=180∘−A \angle\mathrm{BDC}=180^\circ-A

(i) と同じく ∠BCD=90∘\angle\mathrm{BCD}=90^\circ なので

a=BDsin⁡∠BDC=2Rsin⁡(180∘−A)=2Rsin⁡A \begin{aligned} a&=\mathrm{BD}\sin\angle\mathrm{BDC}\\[4pt] &=2R\sin(180^\circ-A)\\[4pt] &=2R\sin A \end{aligned}

3行目では sin⁡(180∘−θ)=sin⁡θ\sin(180^\circ-\theta)=\sin\theta を使いました。

どの場合も a=2Rsin⁡Aa=2R\sin A となり、両辺を sin⁡A\sin A で割れば asin⁡A=2R\dfrac{a}{\sin A}=2R です。B、C についても同じように証明できるので、3つの比はすべて 2R2R に等しい ことが示せました。

注意

(i) の図だけで証明を終えてしまうのはよくある不備です。A が鈍角のときは、A と D が弦 BC の反対側にくるため ∠BDC=A\angle\mathrm{BDC}=A が成り立ちません。sin⁡(180∘−A)=sin⁡A\sin(180^\circ-A)=\sin A のおかげで、結論だけは同じになります。

正弦定理から分かること

辺の比と sin の比:a=2Rsin⁡Aa=2R\sin A などを並べると

a:b:c=sin⁡A:sin⁡B:sin⁡C a:b:c=\sin A:\sin B:\sin C

辺の比と、向かい合う角の sin の比は等しい ので、大きい辺の向かいには sin の大きい角があります。

面積の公式:三角形の面積 S=12bcsin⁡AS=\dfrac{1}{2}bc\sin A に sin⁡A=a2R\sin A=\dfrac{a}{2R} を代入すると

S=12bc⋅a2R=abc4R S=\frac{1}{2}bc\cdot\frac{a}{2R}=\frac{abc}{4R}

3辺と外接円の半径で面積が表せます。

使い方の例題

例題

△ABC\triangle\mathrm{ABC} で a=6, A=60∘, B=45∘a=6,\ A=60^\circ,\ B=45^\circ のとき、bb と外接円の半径 RR を求めよ。

bb を求める:正弦定理 asin⁡A=bsin⁡B\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B} より

b=asin⁡Bsin⁡A=6⋅22÷32=623=26 \begin{aligned} b&=\frac{a\sin B}{\sin A}\\[4pt] &=6\cdot\frac{\sqrt{2}}{2}\div\frac{\sqrt{3}}{2}\\[4pt] &=\frac{6\sqrt{2}}{\sqrt{3}}=2\sqrt{6} \end{aligned}

最後は分母と分子に 3\sqrt{3} を掛けて、663=26\dfrac{6\sqrt{6}}{3}=2\sqrt{6} としました。

RR を求める:asin⁡A=2R\dfrac{a}{\sin A}=2R より

R=a2sin⁡A=63=23 R=\frac{a}{2\sin A}=\frac{6}{\sqrt{3}}=2\sqrt{3}

検算として、b=2Rsin⁡B=43⋅22=26b=2R\sin B=4\sqrt{3}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2}=2\sqrt{6} となり、上の答えと一致します。

この記事のまとめ

  • 外接円に直径 BD を引き、直角三角形 BCD で a=2Rsin⁡Aa=2R\sin A を示す。
  • 角 A が鋭角・直角・鈍角の3通りに分ける。鈍角では ∠BDC=180∘−A\angle\mathrm{BDC}=180^\circ-A になる。
  • 正弦定理から、a:b:c=sin⁡A:sin⁡B:sin⁡Ca:b:c=\sin A:\sin B:\sin C と S=abc4RS=\dfrac{abc}{4R} が得られる。