pHの求め方:水素イオン濃度と常用対数の関係から計算する

化学酸と塩基公式の成立 更新
目次

pH と水のイオン積

水素イオン濃度を [H+][\mathrm{H^+}](mol/L)とすると

pH=−log⁡10[H+] \mathrm{pH}=-\log_{10}[\mathrm{H^+}]

25 ℃ の水溶液では、水のイオン積 [H+][OH−]=1.0×10−14 (mol/L)2[\mathrm{H^+}][\mathrm{OH^-}]=1.0\times10^{-14}\,(\mathrm{mol/L})^2 が成り立ち、pOH=−log⁡10[OH−]\mathrm{pOH}=-\log_{10}[\mathrm{OH^-}] とすると

pH+pOH=14 \mathrm{pH}+\mathrm{pOH}=14

この記事の要点

  • [H+]=1.0×10−n[\mathrm{H^+}]=1.0\times10^{-n} のとき pH=n\mathrm{pH}=n。pH が1増えると [H+][\mathrm{H^+}] は 110\dfrac{1}{10} になる
  • 水のイオン積の両辺の常用対数をとると、pH+pOH=14\mathrm{pH}+\mathrm{pOH}=14 が出てくる
  • 塩基の水溶液は、先に [OH−][\mathrm{OH^-}] から pOH を求め、14−pOH14-\mathrm{pOH} で pH にする

pH は、水溶液の酸性・塩基性の強さを表す数です。この記事では、pH の定義が常用対数でできていることを確かめ、水のイオン積から pH+pOH=14\mathrm{pH}+\mathrm{pOH}=14 を導きます。そのあと基本の例題と、中和と組み合わせる発展的な使い方を紹介します。

pH は何を表しているか

水溶液の [H+][\mathrm{H^+}] は、11 から 10−1410^{-14} くらいまで、とても大きく変わります。そこで、10の何乗かの「指数」に注目して表したのが pH です。

pH が 1 増えるごとに、[H⁺] は 1/10 になる(25 ℃)

[H+]=1.0×10−3 mol/L[\mathrm{H^+}]=1.0\times10^{-3}\,\mathrm{mol/L} なら pH=−log⁡1010−3=3\mathrm{pH}=-\log_{10}10^{-3}=3 です。pH が小さいほど [H+][\mathrm{H^+}] が大きく、酸性が強い ことになります。

pH + pOH = 14 の導出

1. 水のイオン積を書く

水はわずかに電離して H2O⇄H++OH−\mathrm{H_2O}\rightleftarrows\mathrm{H^+}+\mathrm{OH^-} の平衡にあり、25 ℃ では

[H+][OH−]=1.0×10−14 [\mathrm{H^+}][\mathrm{OH^-}]=1.0\times10^{-14}

が、純粋な水でも、酸や塩基の水溶液でも成り立ちます。

2. 両辺の常用対数をとる

積の対数は対数の和になる(log⁡10MN=log⁡10M+log⁡10N\log_{10}MN=\log_{10}M+\log_{10}N)ので

log⁡10[H+]+log⁡10[OH−]=log⁡1010−14=−14 \log_{10}[\mathrm{H^+}]+\log_{10}[\mathrm{OH^-}]=\log_{10}10^{-14}=-14

3. 両辺に −1-1 を掛ける

−log⁡10[H+]−log⁡10[OH−]=14pH+pOH=14 \begin{aligned} -\log_{10}[\mathrm{H^+}]-\log_{10}[\mathrm{OH^-}]&=14\\[4pt] \mathrm{pH}+\mathrm{pOH}&=14 \end{aligned}

中性では [H+]=[OH−][\mathrm{H^+}]=[\mathrm{OH^-}] なので、pH=pOH=7\mathrm{pH}=\mathrm{pOH}=7 です。

log₁₀[H⁺] と log₁₀[OH⁻] の和は、どの pH でも −14

使い方の例題

例題

次の水溶液の pH を求めよ。酸・塩基は完全に電離するものとし、温度は 25 ℃ とする。

(1) 0.010 mol/L0.010\,\mathrm{mol/L} の塩酸

(2) 0.0010 mol/L0.0010\,\mathrm{mol/L} の水酸化ナトリウム水溶液

(1) 塩酸は1価の酸なので、[H+]=0.010=1.0×10−2 mol/L[\mathrm{H^+}]=0.010=1.0\times10^{-2}\,\mathrm{mol/L}。pH=2\mathrm{pH}=2 です。

(2) 水酸化ナトリウムは1価の塩基なので、[OH−]=1.0×10−3 mol/L[\mathrm{OH^-}]=1.0\times10^{-3}\,\mathrm{mol/L}。pOH=3\mathrm{pOH}=3 なので、pH=14−3=11\mathrm{pH}=14-3=11 です。

検算:(2) で [H+]=1.0×10−141.0×10−3=1.0×10−11 mol/L[\mathrm{H^+}]=\dfrac{1.0\times10^{-14}}{1.0\times10^{-3}}=1.0\times10^{-11}\,\mathrm{mol/L} を直接求めると、pH=11\mathrm{pH}=11 で一致します。

pH の求め方の発展的な使い方

酸と塩基を混ぜたときは、まず中和の計算で残った H+\mathrm{H^+}(または OH−\mathrm{OH^-})の物質量を求め、全体の体積で割って濃度にしてから pH を求めます。

発展例題

0.20 mol/L0.20\,\mathrm{mol/L} の塩酸 50 mL50\,\mathrm{mL} と、0.10 mol/L0.10\,\mathrm{mol/L} の水酸化ナトリウム水溶液 50 mL50\,\mathrm{mL} を混ぜた。混合後の水溶液の pH を、小数第1位まで求めよ。混合後の体積は 100 mL100\,\mathrm{mL} とし、log⁡102=0.30\log_{10}2=0.30 とする。

1. H+\mathrm{H^+} と OH−\mathrm{OH^-} の物質量を求める

H+=0.20×501000=1.0×10−2 molOH−=0.10×501000=5.0×10−3 mol \begin{aligned} \mathrm{H^+}&=0.20\times\frac{50}{1000}=1.0\times10^{-2}\ \mathrm{mol}\\[4pt] \mathrm{OH^-}&=0.10\times\frac{50}{1000}=5.0\times10^{-3}\ \mathrm{mol} \end{aligned}

2. 中和で残った H+\mathrm{H^+} の濃度を求める

H+\mathrm{H^+} と OH−\mathrm{OH^-} は 1:11:1 で反応するので、残る H+\mathrm{H^+} は 1.0×10−2−5.0×10−3=5.0×10−3 mol1.0\times10^{-2}-5.0\times10^{-3}=5.0\times10^{-3}\,\mathrm{mol}。体積 0.100 L0.100\,\mathrm{L} で割ります。

[H+]=5.0×10−30.100=5.0×10−2 mol/L [\mathrm{H^+}]=\frac{5.0\times10^{-3}}{0.100}=5.0\times10^{-2}\ \mathrm{mol/L}

3. 常用対数で pH にする

5=1025=\dfrac{10}{2} なので log⁡105=1−log⁡102=0.70\log_{10}5=1-\log_{10}2=0.70 です。

pH=−log⁡10(5.0×10−2)=−(log⁡105−2)=2−0.70=1.3 \begin{aligned} \mathrm{pH}&=-\log_{10}(5.0\times10^{-2})\\[4pt] &=-(\log_{10}5-2)=2-0.70=1.3 \end{aligned}

この問題では、中和の計算で残った H+\mathrm{H^+} の濃度を求め、対数の性質で log⁡105\log_{10}5 を log⁡102\log_{10}2 から作って pH にしました 。

検算(別の方法):10−1.3=0.0501⋯10^{-1.3}=0.0501\cdots で、[H+]=0.050 mol/L[\mathrm{H^+}]=0.050\,\mathrm{mol/L} と一致します。また、混ぜる前の塩酸は pH=−log⁡100.20=0.70\mathrm{pH}=-\log_{10}0.20=0.70 で、塩基で一部中和され、さらに体積が2倍に薄まったので、pH が大きくなる(1.31.3)のは向きとしても合っています。

注意

酸の水溶液を水で薄めても、pH は 7 をこえて塩基性にはなりません。酸の濃度が 10−7 mol/L10^{-7}\,\mathrm{mol/L} に近いくらい薄くなると、水の電離による H+\mathrm{H^+} が無視できなくなるためです。また、pH+pOH=14\mathrm{pH}+\mathrm{pOH}=14 は 25 ℃ での値です。

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この記事のまとめ

  • pH=−log⁡10[H+]\mathrm{pH}=-\log_{10}[\mathrm{H^+}]。pH が1増えると [H+][\mathrm{H^+}] は 110\dfrac{1}{10}。
  • 水のイオン積 [H+][OH−]=1.0×10−14[\mathrm{H^+}][\mathrm{OH^-}]=1.0\times10^{-14} の常用対数をとると pH+pOH=14\mathrm{pH}+\mathrm{pOH}=14(25 ℃)。
  • 混合溶液は、中和で残った H+\mathrm{H^+} の濃度を求めてから pH にする。